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契約不適合責任とは…?

不動産の取引の際によく耳にする言葉ですが、その説明は例によって専門用語が並び、一般の人には少々分かりづらいかもしれません。しかし不動産を買う、または売る一般の人にこそ重要な言葉であり、その内容を正しく知っておくことは自分の身を守ることにつながります。

 

契約不適合責任とは、売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物につき、以下の3点のいずれかに関して契約内容との間に相違があった場合に、売主(施工業者)が買主(施主)に対して負担する法的責任をいいます

① 目的物の種類
契約上の目的物と、実際に引き渡された目的物の品目が異なる場合、契約不適合責任が発生します。

② 目的物の数量
契約上定められた目的物の数量に対して、実際に引き渡された数量が過剰または不足している場合、契約不適合責任が発生します。
(例)収納棚を3つ並べて設置すべき場所に、収納棚が2つしか設置されていなかった

③ 目的物の品質
契約上定められた目的物の品質に対して、実際に引き渡された目的物の品質が劣っている場合、契約不適合責任が発生します。
(例)無垢材を使用すべきリビングの床に、合板材が使用されていた


 

特に新築の注文住宅では、建物に欠陥や契約との相違が見つかり、契約不適合責任が問題となるケースが多いのが特徴です

 では責任を負う期間はどの程度なのでしょうか。民法では買主が瑕疵に気付いた時から1年と定められています。この『瑕疵』が引渡しの時点で既にあったことが必要条件ですので、住宅の場合、住み始めて何十年も経ってから気付いた欠陥が引渡し時点に既にあったことを証明する事は難しく、また、売主が何年にも渡って保障の責任を負い続けることは大きな負担となるため、責任を負う期間は10年と定められています。更に、特約を設けることによって期間を短くすることができるのですが、その内容は大まかに3つのパターンに分けることができます。

1.売主が個人の場合。

2.売主が不動産業者で、買主が個人の中古住宅の場合。

3.新築住宅の場合。

 

1.売主が個人という事は、一般的には中古物件の取引になります。 その場合、民法以外に縛られる法律はなく、瑕疵について責任を負う義務はありませんので、瑕疵担保責任は負わないとする特約も有効です。ただし、引渡し時に瑕疵を知っていて、わざと買主に告げなかった、などの場合には、特約は無効になり、民法が適用され、10年間は(買主が気づいてからは1年)売主が責任を負わなければなりません。

 

2.売主が不動産業者で、買主が個人の場合は宅地建物取引業法(以下、宅建業法)が適用されます。宅建業法では売主である業者は瑕疵担保責任引渡し日から2年間は負う義務があります。したがって、責任の期間を2年未満とする特約は無効となり、民法に従うことになります。ちなみに買主も不動産業者である場合は、宅建業法での縛りがないため、免責の特約を付すこともできます。

 

3.新築住宅の場合、2000年に施行された住宅品質確保促進法によって、売主は、引渡より10年間は責任を負わなければなりません。買主は個人に限らず、業者間であっても適用され、期間を短縮する特約は無効となります。

 

 つまりざっくり言うと、新築を買ったら、10年不動産業者から中古住宅を買ったら最低2年個人から買ったら責任は問えない。と言えます。ただし個人同士の取引の場合、免責の特約は売る方にとっては有利ですが、買う方にとっては不利といえ、契約に際しては双方の納得が得られる範囲で特約を設けることができることを知っておきましょう。また、売主が瑕疵について知らんかった場合(無過失)であっても、責任を負わなくてはならないこと。もしも瑕疵を知っていて買主に伝えていなかった場合(有過失)には、特約は無効となり、民法が適用される事も併せて覚えておきましょう。